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ミステリーだけではないエッセイストとしての森博嗣という小説家の魅力

   

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 昨年秋、森博嗣氏のデビュー作である「すべてがFになる」を皮切りにS&Mシリーズが綾野剛、武井咲という今をときめく俳優2人によって連ドラ化され、また年が明け2015年には瀬在丸紅子が主人公のVシリーズ第1作「黒猫の三角」も檀れいを抜擢しドラマ化され、今までコアなミステリーファンの間で読まれていた森博嗣という作家が、普段小説を読まない一般層にも認知されつつあり、人気ミステリー作家としての地位を確立したように感じています。認知されたと言ってもデビュー作の「すべてがFになる」が発行されてから来年で20年になり、映像化で森博嗣という作家を知った読者にとっては今から森博嗣という作家の20年の足跡を辿っていくことになるでしょう。

 しかし森博嗣という作家の魅力はミステリージャンルの作品だけではないんです。今回ご紹介するThe Cream of the notesシリーズはエッセイです。作者の森博嗣氏自身が普段の生活の中で感じたこと、思ったことを書き連ねた作品で、その考え方とスタンスがなかなか面白くてみなさんにも読んでもらいたいな思う所が多くて今回ご紹介してみます。

つぶやきのクリーム

 「何から手をつけたら良いのかわからない状態とは、なんでも良いから手をつけた方が良い状態のことである」「大部分の失敗は、やらなければならない失敗だった」「子供は自由だというが、大人ほどではない」。世界の見え方を変える。作家・森博嗣の“つぶよりのつぶやき”。

 The Cream of the notesシリーズの第一弾です。まず最初に言っておきたいのが、このシリーズはあくまでもエッセイであり、自己啓発書の類ではないということ。このシリーズで一貫している森博嗣氏のスタイルは普段の生活で思ったこと、体験したことを連々と書いているだけだということ。このスタイルに自分の考えの優位性だとか、他人に助言するような立場からの発言、内容は含まれていません。ここを履き違え、自分の考えと内容との思想の違いを嫌悪している点がAmazonでの低評価をつけている人の共通認識だと思います。

 このシリーズを楽しむ方法として、肩の力を抜いて読むこと。相手は元国立大学の先生で売れっ子作家なのですから、自分の環境と比較してはいけません。このシリーズでも森博嗣氏は小説が売れてこの先働かなくてもいい程度の収入を得たと書いています。そんな働かなくてもいい状態になってわかったことなんかも綴っていますが、そこに嫉妬するのは読者の姿勢としてはどうかと思います。まあ羨ましいのは間違いないですが(笑) へえそうなんだ。そんな考え方もあるのかと自分と違う意見、思想、立場を素直に受け入れることができればこのシリーズはとても興味深いものとなるでしょう。

つぼやきのテリーヌ

 しなければならないことは、すべて自分がしたいことだ―。思いついたことを思いついた順に綴った一〇〇個の端的エッセィからあふれ出す森イズム。斬新な発想と知的ユーモアで、人生はこんなにも豊かにできる。文庫好きを公言する小説家・森博嗣の、著作二六五冊目にして記念すべき、初の文庫書下ろし!

 The Cream of the notesシリーズ第2作目、2作目も1作目に倣って同じ手法、内容が踏襲されているので1作目がしっくりきた方は問題なくつぼやきのテリーヌを楽しむことができると思います。驚くべき点と言いますか、この本の気になる点はあとがきにあります。このつぼやきのテリーヌのあとがきを担当されているのが嗣永桃子(Berryz工房)、通称ももちです。バラエティ番組などで活躍している彼女ですが、大変的を得たあとがき解説で本編よりも本編を読んだ後のこの解説の方がインパクトが大きかったです。もちろんももちのあのキャラクタとのギャップに依るところも大きいですが、自分を客観的に捉え、その上で内容を引き立てながら解説している文面には素直に凄いと思いました。文中にも♡、にゃんにゃんなどを多様してそこに惑わされますがももちの芯の賢さが垣間見えました。

 因みにテリーヌとは、

 テリーヌ(フランス語:terrine テリヌ)は、フランス料理で使う、釉薬をかけたテラコッタ製の蓋付きの土鍋、あるいは壺・鉢・深皿。現在では琺瑯引きの鋳鉄製の鍋もテリーヌに含まれる。これを使った料理もテリーヌと呼ばれる。正式には容器のまま供したものだけがテリーヌ、より正確にはテリーヌ・ド・パテ(terrine de pâté)である。

テリーヌ-Wikipedia

 だそうです。

つぼねのカトリーヌ

実は、僕の研究室にいた秘書さんが、カトリーヌという渾名だった―。小耳に挟んだ日々の小事から死生観、自己紹介まで、全一〇〇個の笑えて、考えさせられて、納得する森イズム。役に立つか立たないかは読む人しだい、でも読めば確実になにかが変わる。ベストセラ連発、絶大な人気を誇る森博嗣の等身大。

 The Cream of the notesシリーズ最新作、2014年の12月に発行された作品で、半年が経ちましたが時事的にはまだ話題になっている題材がいくつかあるので、このつぼねのカトリーヌから読んでみるのもいいかもしれません。

 今作では森博嗣氏の死生観や政治観などが多いなという印象を受けました。あとインパクトがあった内容としては、自身の作品がテレビドラマ化したのにテレビ業界を批判し、テレビなんか見なくていいんじゃない?と言っているところが面白かったですね(笑)

見開きで1テーマなので電車の中で読むのにぴったり

 このシリーズで一貫したスタイルとして見開きで1つのテーマ。次のページにそのテーマの延長として話が続く場合もありますが、基本的に見開き1ページ読むとそこで話が完結しているので、外出先でちょこっと空いた時間を埋めるのにぴったりです。小説だと話がいいところだと止め時がわからなくなったり、時間が経って読みなおすとあらすじをど忘れしていたり……なんてこともありますが、The Cream of the notesシリーズなら言ってみれば見開き1ページの短篇集です。まとまった時間が取れない外出先のお供にいかがでしょうか。1冊のページ数も多くないのでかばんの中に入れてもかさばらないのもポイントです。

 また森博嗣氏の作品はほとんどがKindle化されているのも嬉しいところです。著者自身が電子書籍推進派なのでKindleでも楽しめる点もぼくが森博嗣氏の作品が好きなポイントかもしれません。

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